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知識から「考える力」へ*講評*北海道NIE推進協議会会長 高辻清敏*新聞を「社会と接点感じる窓」に

公開授業に臨む留萌高の生徒たち。参観者の右端が高辻清敏会長=2015年11月13日

公開授業に臨む留萌高の生徒たち。参観者の右端が高辻清敏会長=2015年11月13日

 本年度、13会場で行われた公開授業では「何を知っているか」から「どう活用するか」へ、知識より考える力の育成を図る指導が展開された点で評価できる。
 高校で初の公開授業が行われ、当該校の教師は生徒の自立を視野に、考える力と学ぶ喜びを育み、自信を与えるよう腐心した。
 静内高は「マイナンバー制度を考える」をテーマに6紙の記事を比較した。個人の考えを出し合い、グループ学習、全体討議を経て個々の意見をまとめるのである。自分の考えを発信し、他者の意見を聞くことで思考が深まる。一人一人が発表することで自己肯定感が養われ、コミュニケーション能力が育つ。子供の主体性を重視した展開は次期指導要領に求められるアクティブラーニング(主体的な学習)の先取りである。
 記事の内容をうのみにせず、報道を多角的・多面的にとらえるメディアリテラシー能力を養う教育が併せて実践されたとも言える。記事は記者が意図を持って書き、新聞社が目的を持って編集している。同じテーマでも、新聞社によって伝え方が異なる。複数紙を比較することで、批判的、批評的に読み取る力を身に付けることができる。
 公開授業の感想として「新聞は自分と社会との接点を感じる窓口。政治と生活の関わりが大きいことに気付き、授業に満足した」と一人の生徒が書いた。タイムリーな記事は心に響く。

2015年度のNIEセミナー開催地 伊達高は「平等に生きる権利」をテーマに、出産や育児の支援方法への関心を引き出すため、新聞事例を取り上げた。授業は討議中心である。課題解決に向けて学び続けたい、成長したいという気迫が話し合いから感じ取れた。
 江差中の授業のテーマは「豊かな自然を生かした観光」だった。生徒たちは人口減少や産業の衰退、医療、教育の課題を当事者として受け止め、記事を参考に「自分たちに何ができるか」を考えた。観光客を増やすため、「『江差追分』を世界各地で披露する」「江差が一番盛り上がる祭り(姥神(うばがみ)大神宮渡御祭)で言語の壁を超えて楽しさを共有する」などと、将来を担う中学生の視点からまちおこしの在り方を提案した。
 小学校では、新聞記事を児童向けに書き直すところがあった。北見市立緑小の5年生は全国のサンマ水揚げ状況の記事と図表を基に、「なぜ、北海道の水揚げが下がったか」を考えた。記事には難しい漢字や用語が登場するため、校長がリライトして配布した。発達段階を考慮した新聞活用例として注目される。
 多くの公開授業で、教材選択や指導法の改善に向けてチームによる取り組みが見られた。指導案は授業の仮説である。子供とともに考える姿勢で検証し、同僚や上司らと複眼的な共同研究を進めることで教師力が高まるのである。
 地域の実践者やNIEアドバイザーの助言も役に立つ。なかには、北海道NIE推進協議会のコーディネーターに相談し、授業にふさわしい記事の提供を受けたケースもあった。
 子供の主体性を生かし、協働・体験的な取り組みを通じた探究的学習―。これが本年度の特色と言える。

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