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噴火災害から16年 都立三宅高(2の1)*新聞活用 社会読み取る*マイナンバー、SNS…*記事基にリポート

 2000年の噴火災害によって全島避難を余儀なくされた伊豆諸島の三宅島(東京都三宅村)で、帰島が実現してから今年2月で11年を迎えた。人口は噴火前の3分の2に減り、三宅村は「防災島づくり」と「人材育成」「産業振興」を優先課題に掲げ、完全復興を目指す。島内唯一の高校として期待がかかる都立三宅高校(中間均校長、37人)を訪ね、新聞活用と防災教育の取り組みを取材した。(山本肇)

「1票の格差」について生徒に考えさせる末吉智典教諭=3月14日、三宅高校

「1票の格差」について生徒に考えさせる末吉智典教諭=3月14日、三宅高校

 三宅高校の卒業生は進学や就職で島を離れる。「内地」との情報格差はインターネットの普及で事実上なくなったが、飛行機や船が欠航すれば新聞さえ届かない離島のハンディはある。生徒の職業観を養い、情報を集めたり批判的に見る能力を伸ばすため、学校はNIEの推進を決めた。
 15年度、日本新聞協会のNIE実践指定校となり、社会科の末吉智典教諭(33)を中心に授業や家庭学習で新聞を活用している。

*6紙からテーマ

 初年度は「現代社会」を学ぶ全1年生13人(普通科、農業科、家政科)を対象に、東京新聞と全国紙5紙の中から、興味のあるテーマの記事を探してリポートをつくることにした。生徒が選んだ主なテーマは「マイナンバー制度」「18歳の飲酒・喫煙の是非」「会員制交流サイト(SNS)の危険性」などだ。
 女子生徒の一人は、伊豆大島で13年10月に起きた台風26号による土石流災害に伴い、心が傷ついた子どものケアを題材に選んだ。学校を訪れるスクールカウンセラーに話を聞いたり、東京都に連絡を取ったりし、子どもの不安を取り除く具体的支援法をまとめた。
 三宅島で朝刊が配達されるのは午後2時すぎで、前日の夕刊と一緒に届く。家が新聞を購読している生徒は少なく、15年度の1年生の場合、13人中2人だ。
 NIE実践の成果として、末吉教諭は「新聞に関心を持つようになったこと」を挙げる。例えば、朝、家のテレビで見たニュースを学校の新聞であらためて確認する生徒もいる。
 昨年10月、読売新聞の記者を招き、全校生徒対象の出前講座を開いた。島内には就職の受け皿が少なく、末吉教諭は「記者の仕事を具体的に知ることができ、キャリア教育の上でも有意義だった」と振り返る。

*「選挙権」議論も

 「18歳選挙権」に伴う主権者教育で、最新の情報が得られる新聞は有効だ。3月、「現代政治と民主社会」の単元に合わせ、「1票の格差」をめぐる最高裁の違憲判決、違憲状態判決を報じる記事を使った。
 在籍数が違う普通科、農業科、家政科から代表を1人ずつ選んで話し合いで物事を決めると、どんな問題が起きるか問い掛ける。この場合、生徒数が多い科の代表の意見が通るとは限らない。「1票の価値が違うから平等じゃない」と生徒から声が上がる。
 4回の授業の最後では「1票の格差を是正すると、人口が少ない地方の声が政治に反映されない」との意見と「民主主義の原則から1票の重さは同じにすべきだ」などの理由で格差はなくすべきだとする意見に分かれた。1票の格差問題を生徒が自らに引き寄せて考える機会となった。
 実践は2年目を迎えた。本年度も1年生(12人)の「現代社会」でNIEを継続する。末吉教諭は「新聞から現代社会が読み取れると生徒に実感させられるような取り組みを考えていきたい」と話している。

◇三宅島◇
 東京から南へ180キロ、富士火山帯に属する火山島。2000年6月に火山活動が活発化し、中心部の雄山(当時814メートル)が8月18日、大噴火した。三宅村は9月2日、全島に避難指示を出し、島民は都内の都営住宅や親類宅に身を寄せた。解除されたのは05年2月。人口は5月1日現在、2607人。

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