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ICTの教育活用探る*神戸新聞社のモデル事業*スカイプ*離れた相手と質疑や交流

画面に映る石川憲幸・前兵庫県議会議長に質問する三田祥雲館高の生徒たち=6月22日、祥雲館高

画面に映る石川憲幸・前兵庫県議会議長に質問する三田祥雲館高の生徒たち=6月22日、祥雲館高

 教育分野でICT(情報通信技術)の有効活用策を探る神戸新聞社の「ICTドリームスクール実践モデル事業」が2年目を迎えた。本年度は「主権者教育」と「郷土学習」をテーマに、複数の学校をインターネットで結ぶ実証実験的な取り組みを進めている。(山本肇)

 神戸新聞社は昨年度、総務省が事業の実施主体を公募した際、「新聞社資産を活用した郷土愛を育む体験型ICT授業の実践」の企画で応募し、採用された。実施にあたり電通とNTTドコモが協力している。
 昨年度は、兵庫県内二つの小学校で、子どもたちが新聞記事を手がかりにふるさとについて調べた内容をタブレット端末と専用アプリを使って「新聞」にまとめるまでを支援した。紙媒体の新聞を使うNIEの延長線上の取り組みだ。
 本年度、主権者教育をテーマに加えたのは、18歳選挙権の導入に伴い、高校生に政治への関心を高めてもらうのが狙いだ。参加しているのは県立の三田祥雲館高校(三田市)と明石城西高校(明石市)の2校。
 参院選公示日の6月22日には、両校と県議会の3カ所をインターネットテレビ電話「スカイプ」でつなぎ、2、3年生7人が前県議会議長の石川憲幸県議(61)に対し、政治とカネの問題や選挙権年齢の引き下げに関する質問をぶつけた。
 石川氏は議員の仕事や政務活動費の使途について詳しく説明したうえで、「若い世代、子育て世代に政治の光を当てねばならない。次代を担う気概を持ち、選挙を通じて政治に参加してほしい」と呼びかけた。
 祥雲館高3年の田沢翔生(しょうき)君(18)は質疑の前、参院選で投票するかどうか決めかねていたが、「議員は住民生活に関わる大切なことを決める仕事をしている」と理解し、終了後、「必ず投票します」と話した。
 両校は神戸新聞社から記事の書き方や割り付け法を教わり、タブレット端末を使って新聞を仕上げる。
 祥雲館高の足立龍飛(りゅうと)教諭(24)は「ふだん会うのが難しい前議長から話を聞けたのは得難い体験で、有意義だった。3元中継したこともあり、生徒の関心は高く、議会や選挙が身近に感じられたはずだ」とし、「こうした取り組みをインターネットを活用してより多元的に行えば、若者の興味、関心も広がっていくのではないか」と指摘する。
 新聞には、質疑の内容のほか、若者の政治参加、県議会への提言を盛り込む予定だ。
 郷土学習をテーマに学ぶのは神戸市立灘小学校と福島県新地町立福田小学校だ。今年から祝日となる8月11日の「山の日」にちなみ、それぞれが身近な山と郷土の魅力を盛り込んだ新聞を同様に作る。離れた地方紙同士がICTを軸に連携する試みで、福田小への指導は地元の福島民報社が担当する。両校を「スカイプ」でつなぐ交流学習を何回か行う。
 ICTの特性は、情報を瞬時に共有できたり、双方向でやりとりでき、距離的制約がないことだ。今回の事業では、都市部であるか、過疎地や離島、中山間地域であるかを問わず、質の高い教育を実現する手段として期待される。国は事業の成果を踏まえ、さまざまな教材をインターネットを介して蓄積し、全国どこでも誰でも自由に使える「学習・教育クラウド」を整備したい考えだ。
 神戸新聞社の梶岡修一経営企画室長(51)は「NIEを進化させつつ教育ICTの在り方を追求する」としたうえで、「郷土愛を育むのは地元新聞社の使命でもある。これまで培ってきたノウハウや地域の情報を教育に活用してもらい、人づくり、地域づくりにつなげたい」と抱負を語る。

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