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全国大会・公開授業 活用のこつパネル討論(2の1)*記事で始める保健体育*運動と生活習慣考える

新聞記事を参考にしながら、保健体育の授業を進める甲斐広樹教諭

新聞記事を参考にしながら、保健体育の授業を進める甲斐広樹教諭

 NIEは国語科、社会科での実践例が多い中、大分市立滝尾中学校は保健体育科で取り組んでいる。8月4、5の両日、大分市内で開かれたNIE全国大会で「運動と健康」を題材に公開授業を行い、「面白みを感じにくい分野なのに、新聞記事のおかげで生徒が楽しく学んでいる」と注目された。(渡辺多美江)

 滝尾中は3年前から、保健体育科を中心にNIEを実践している。これまでに高地トレーニングや熱中症、スポーツのマナーなどの新聞記事を活用し、「授業で生徒の食いつきが良く、運動への関心が高まる」と手応えを得ている。
 公開授業は3年生の保健分野「生活行動・生活習慣と健康」の単元。甲斐広樹教諭(28)が「運動・スポーツ関連記事を活用し、健康とのつながりについて考える」をテーマに行った。

*班ごとにアイデア

 甲斐教諭は「人間には適切な運動が必要だが、なぜ必要で、どのような効果があるのだろうか」と問いかけ、生徒35人に自分の考えを付箋に書かせた。生徒たちは付箋の内容を班ごとに分類、整理したうえで「持久力がつく」「ストレス発散になる」などと発表し、基本的認識を固めた。
 ここで、甲斐教諭は『「育児忙しい」「休暇がない」 大分県民は運動不足』と見出しがついた新聞記事(2013年11月14日の大分合同新聞)を配布した。記事から想定されるAさん(育児に忙しい30代女性)、Bさん(仕事が忙しい40代男性)というモデルを示して「運動不足解消のために、AさんとBさんへのアドバイスを考えよう」と促した。
 記事には「週1日以上運動する割合が低いのは40代と30代」「子育てや仕事によって運動時間が確保できない」と書かれ、生徒たちは班ごとにアイデアをまとめた。Aさんには「子供をベビーカーに乗せて散歩する」「保育園への送迎は車でなく歩く」、Bさんへは「外出は徒歩か自転車」「寝る前に腹筋運動」などと具体的な提案が目立った。
 三つ目のモデルケースは中学3年生のCさん。部活を引退して、運動は体育の時間のみとの設定だ。こつをつかんだ生徒たちからは「朝早く起きて走る」「半身浴」「部屋の片付けをする」とアイデアがどんどん出る。「ポケモンGOをしながら歩く」まで飛び出し、笑いが広がった。
 甲斐教諭は「Cさんはまさに今のみんな」と指摘し、「いろいろアイデアが出たが、本当にできるのだろうか。みんなは朝早く起きることができるのかな」と投げかけた。そしてスポーツ障害の予防に触れつつ、「健康づくりのための運動は、安全であること、効果があること、楽しいことが重要。強すぎても軽すぎてもだめ」と締めくくった。

*自分に引きつける

 授業を見た教師らからは「生徒が笑顔で保健体育の授業を受けているのが印象的」「生徒自身がモデルのCさんを登場させたのが良かった」といった声が出た。甲斐教諭は「授業では記事を読む時間を設けなかったが、設定した方が授業内容が深まったかなと思う」と、反省点も口にした。
 大分市教委の中野晃次指導主事は「保健体育の公開授業はNIE全国大会で初めて」としたうえで、「保健体育の授業では、たとえば『未成年の喫煙は悪い』といったようにすでに分かっていることを学ぶので、自分のこととして考えるのが難しい。面白いと感じる生徒は少ない。新聞記事を使うことでテーマが身近な存在になり、他人ごとでなく自分ごととしてとらえることができた」と評価した。体育科でのNIEについて「新聞記事を使い、教師が適切に発問することで焦点が定まり探求がより深まる」と重要性を指摘した。

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