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北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

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新聞で学んだ熊本地震 郷土見つめ直す契機に(2の1)

 多数の犠牲者を出した熊本地震から来月で半年―。被災地の子供たちは新聞記事を通じて、未曽有の災害に見舞われた郷土を見つめ直し、被災者に寄り添う心を学んでいる。地震の爪痕が残る熊本県内のNIE実践指定校3校と地元の新聞社を訪ね、震災を題材にした活動の様子を取材した。(山口恭司)

*大津小(大津町)*避難児童の姿に共感

熊本地図 大津小(吉良智恵美校長、626人)は5月上旬、隣接する南阿蘇村立野(たての)地区の児童21人を受け入れた。村内の阿蘇大橋が崩落し、母校(南阿蘇西小)に通えなくなったためだ。大津小も地震直後に12日間休校。体育館は内壁がはがれ落ち、使用不能となった。
 南阿蘇の子供の多くは大津町内の避難所から通学した。4年生2人をクラスに迎えた米田(こめだ)久美子教諭(45)は「新年度が始まったばかりで、互いに余裕がなかった。担任としても2人に立ち入った話をしにくい状況だった」と振り返る。

子供たちのスクラップノートを見ながら、震災関連記事を使ったNIE活動について語る(左から)米田、志賀、熊谷の3教諭

子供たちのスクラップノートを見ながら、震災関連記事を使ったNIE活動について語る(左から)米田、志賀、熊谷の3教諭

 そんな中、同じ避難所にいた南阿蘇の中学生が地元紙で紹介された。炊き出しを手伝って楽しかったことや新しい学校で頑張る様子がつづられたその記事の写真に、クラスに来た女の子がたまたま写っていた。
 米田教諭は記事をクラスの子供たちに読ませ、感想を書かせた。「自分の地区も大変なのに炊き出しをするのはすばらしい」と、子供たちは身近な被災者の暮らしぶりに理解を深めた。米田教諭は「記事を通して南阿蘇の子供たちとのつながりができた」と語る。
 6年生担任の志賀裕美教諭(44)は、復興に向けた識者の提言を紹介した記事を題材に、身近にあって価値を感じるものを書かせた。子供たちが挙げたのは、水や食べ物、家族、電気…。「つまらないからあまり見なかったけどニュースは大事だと思った」と書いた子も。気になった記事をノートに貼って感想を書かせる実践では、地震関連の記事を選ぶ子が多かった。
 志賀教諭は「今後も前向きな内容の記事を取り上げ、子供たちに生きるということを考えてもらいたい」。NIE担当の熊谷和信教諭(64)は「新聞は被災者のような弱い立場の人たちの声をすくい上げる。そのメッセージを受け止めることは教育上、有効だ」と指摘する。

*日吉東小(熊本市南区)*被災体験 学習の糧に

 地震後、熊本市内のほとんどの小中学校が避難所となる中、南部にある日吉東小(佐藤俊幸校長、470人)にもピーク時には千人以上が身を寄せた。車中に泊まりながら、対応に追われた教職員もいた。
 本年度、地域とのつながりを実感できる学習を総合的な学習の時間で計画していた。避難所で人々が協力し助け合う姿を目の当たりにした教師らは迷わず、震災を取り上げることに。怖くてつらい思い出だけにせず、体験をプラス材料にしたいとの思いがあった。「地震があったからこそ分かったことを共に深めたかった」と、5年生担任の東(ひがし)芳継教諭(55)は語る。
 震災による児童の心理的負担を考慮し、5月初めの授業再開から約1週間後、5年生の2学級で新聞記事などを手がかりにした調べ学習を始めた。子供たちが地震で考えたことを基に、「避難所で困ったこと」「災害時のペットのケア」などへの対応策をグループごとに調べている。教師が参考記事を集めて配布、子供たちの学びを支えた。7月には避難所運営に携わった民生委員の話を聞く機会を設けた。2学期には調べた結果を基に地域との交流につなげたい考えだ。5年生担任の宮本美由貴教諭(45)は「新聞には節目ごとに経過をまとめた記事が載る。子供たちの学習の方向性を定めるのに役立った」と話す。

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