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高校新聞*選挙報道 中立性は?*全道研究大会 分科会*「多様な意見掲載を」「主観は局説に」

 選挙権年齢が「18歳以上」に引き下げられて初の国政選挙として7月、参院選が行われたこともあり、道内の高校新聞で「18歳選挙権」の紙面化が相次いだ。今月5~7日、士別で開かれた全道高校新聞研究大会の分科会では、選挙報道における中立とは何かが一つのテーマになり、高校生たちが考えた。(萩原琢詩)

自分たちが作った高校新聞を見ながら18歳選挙権について議論する生徒たち=6日、士別市民文化センター

自分たちが作った高校新聞を見ながら18歳選挙権について議論する生徒たち=6日、士別市民文化センター

 大会には、全道52の高校から新聞局員ら約380人が参加した。
 18歳選挙権を扱った中では、帯広柏葉の紙面が目を引く。住民票を実家のある別の町に残したまま帯広市内に下宿しているため、参院選の選挙人名簿に登録されなかった男子局員(3年)の思いや、生徒の政治意識、若い世代の負担となる奨学金や国の借金問題などを5ページにわたり多角的に取り上げている。
 多くの学校が生徒にアンケートを行い、「投票に行くか」「行ったか」などをまとめた。地元市議や選管職員に取材し、若者の政治参加や低投票率の問題を取り上げた滝川西の特集は労作だ。
 「社会生活を考えよう」の分科会では、選挙権年齢引き下げのメリット・デメリットや、高校新聞で18歳選挙権をどう取り上げるかなどについて議論した。
 6班に分かれての討議で出たのが「中立的な立場で生徒の声を載せる」「各政党、立候補者について中立を貫いて書く」との意見だ。「偏らずに書くのは難しいが、具体的にどうすればいいか」と他校の参加者に質問する生徒もいた。
 ここで、助言者の荒木美智雄教諭(長沼)が「新聞報道において中立はあり得るのか」と問題提起した。生徒が各自で調べたことをまとめて持ち寄った分科会資料で「主観を混ぜないで書く」「自分の考えは入れない」という記述が目立ったことにも触れ、「中立とは言わないことなのか、それは逃げではないのか」と畳みかけた。
 生徒たちは中立な報道について「各党の公約を書くだけでいずれにも賛成しない」「さまざまな意見を同じように載せる」などと考えを出し合った。「伝える側は意見があって書くので、中立な立場には立てない」「完全な中立はないが、偏らないようにする意識は必要だ」という声もあり、「読者の判断材料にしてもらうために、自分たちの主観はコラムや、社説に当たる『局説』に書けばいい」と議論を深めていった。
 荒木教諭は「異なる二つの意見があるときに、新聞を作る私たち主権者が観客席で傍観するのはおかしい」と話し、自分たちの考えも新聞に載せるよう訴えた。主張を通常の記事に混在させないことの重要性も強調し、「取材を終えて」などの別のコーナーに書くようアドバイスした。
 もう一人の助言者、阿部博俊教諭(帯広農業)は「この人に投票したらこうなるという判断材料を提供するのが新聞。正しい情報を発信するにはどうしたらいいかをこれからも考えてほしい」と呼び掛けた。
 分科会の司会の一人、鈴木裕里加さん(芽室高2年)は「異なる意見が存在する問題では、さまざまな声を取り上げつつ、自分たちの主張もきちんと載せることの大切さが改めて分かった」と話した。

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