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第2回北海道セミナー(2の2)*基調講演 杉本直美・文科省教科調査官*社会 記事から発見*実生活とのつながり 意識を

「新聞の特長を生かした活用を」と話す杉本直美調査官

「新聞の特長を生かした活用を」と話す杉本直美調査官

 現在、文部科学省で中学校国語の教科調査官をしているが、20年弱、中学校で国語の教師を務めた。新聞を活用した授業を行ったこともある。国語を例に、新聞活用について皆さんと考えていきたい。
 全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の中学国語で、三つの資料を示し「2020年の日本はどんな社会になっていて、どのように関わっていきたいと思うか」と問う問題があった。子供たちは「東京五輪が開かれ世界とのつながりが広がるが、少子高齢化で大変な社会になる」などと情報を関連付けて未来を予想する解答までは書けるが、自分と社会との関わり方を具体的に書くことがなかなかできない。
 問題の解説資料には次のようなことが書いてある。
 私たちの周りには情報があふれている。あらかじめ目的を持って接することもあれば、多様な情報に触れながら問題意識を持ったり、新たな発想を得ることもある。変化の激しい社会で生きていくこれからの中学生には、後者のような情報活用の能力も重要だ。
 つまり朝、何の気なしに新聞をめくって何か発見したり着想したりということがある。実生活ではこういった気付きこそ大切。新聞にはこういうことがある。
 こういう流れの中で、NIEの授業を行う場合、どこがポイントか。
 まず、自分たちで資料を集めさせたい。たとえば、新聞記事なら実生活とのつながりを意識させて選ばせる。子供同士で意見交流させる場合も目的をはっきりさせる。最後に意見文は図書館で書かせる。すると、「もっと知りたい」と書棚に手を伸ばす子が出てくる。授業の工夫と丁寧な指導、助言が必要だ。
 ある授業で教師が新聞の切り抜きを子供たちに配って読ませていたが、いつの何という新聞かも分からず、漢字が難しくて子供たちは読めない。新聞を使えばよいというものではない。
 新聞が生き残るにはどうすればよいのか。
 「何が何でも新聞」ではなく「なぜ新聞なのか」を考えさせてほしい。目的によってはインターネットの方がよい場合もある。新聞の内容と形式の特性を子供たちに認識させて、新聞を使わなくてはいけないケース、新聞を使うのが有効なケースを教えてほしい。たとえば「部活動新聞」や「歴史新聞」を作らせる時、一般紙をそばに置き、紙面のどこに何を書くかを考えさせる。一覧性はネットにはない。
 価値あるものは必ず残るが、価値は子供たちが決める。子供たちが調べたことを新聞形式でまとめる際、「大変だったけど、リポートでは得られないものを得た」と思わせなければ「作れと言われたから作った」で終わる。「新聞を活用してよかった」と実感させなければならない。
 新聞の読み方を教えることも必要だ。たとえばトップ記事とコラムの特徴。子供たちの中には、紙面がカテゴライズ(政治、社会、スポーツなどジャンル別になっている)されていることも、朝刊と夕刊の違いも知らず、どちらから開くのか分からない子もいる。
 さらに、自宅で取っていない子はどこで読めばいいのか。入手方法を教えることも実生活では必要だ。
 私は新聞が好きで価値があると思うし、なくなってほしくない。しかし、新聞を読むのは難しいことなのだ。

(小田島玲)

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