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「北海道NIE推進協議会」20周年*新聞の活用 各地に芽生え

 新聞を生きた教材とするNIE(Newspaper In Education=教育に新聞を)に力を入れるため、道内の教育関係者と新聞社が「北海道NIE推進協議会」を設立して20周年になる。この間、インターネットの普及で活字離れが進み、新聞をめぐる状況は一変した。一方で、新聞の活用が学習指導要領に明記され、新聞の注目度は高まっている。教育現場でNIEに長く取り組んできた4人に、20年間の歩みを振り返りつつ、現状と今後の可能性を語ってもらった。司会は小田島玲北海道新聞NIE推進センター委員(北海道NIE推進協議会事務局次長)が務めた。

*4氏が座談会

<出席者>
高辻 清敏氏(77) 北海道NIE推進協議会会長
高瀬 敏樹氏(56) 札幌旭丘高教諭(NIEアドバイザー)
菊池 安吉氏(59) 旭川市立神居東中校長(元NIEアドバイザー)
冨樫 忠浩氏(42) 胆振管内安平町立早来小教諭(NIEアドバイザー)

高辻清敏氏

高辻清敏氏

高瀬敏樹氏

高瀬敏樹氏

菊池安吉氏

菊池安吉氏

冨樫忠浩氏

冨樫忠浩氏

 ――20年間の歩みを振り返って一言お願いします。

 冨樫 NIEに携わって15年ぐらいになるが、当初は個人的な取り組みで孤立した状況だった。徐々に広がり、今は点から線へと変わりつつある。新聞社の姿勢も変わった。(日本新聞協会認定の)NIEアドバイザーが板書の写真とともに実践例を紹介する道新の連載「四季の実践」は画期的だ。教師がさまざまな場面で発信できるようになったことが大きい。

 菊池 旭川でのNIE地区セミナーの開催に関わったが、これまではNIEの種まきだった。それが今、少しずつ芽を出してきた。

 高辻 種まきは函館、釧路、帯広でも行われた。各地の教育委員会の指導主事や校長らが小規模な学習会を積み重ねてきた。そうした底辺での取り組みによってNIEが表面化し、広がりが出てきた。

 高瀬 新聞の活用が学習指導要領に明記され、多くの教科書で扱われるようになったのは大きな成果だ。学力向上への寄与が確認されたことも大きい。NIEの重要度が高まった20年間だったのではないか。

*手軽に読める環境を

 ――NIEの現状はどうか。課題は何でしょうか。

 冨樫 文部科学省の全国学力・学習状況調査などによると、新聞を読んでいる小学生が減少している。親の世代も同様で、家庭での購読率低下が要因とみられる。だからこそ、学校現場で新聞が身近にある環境をつくることが必要だ。

 菊池 子どもが新聞を読んでいない状況は中学校も同じ。NIEの取り組みには教科によって温度差がある。NIEが定着するためには、学校経営案や校内研修の中にしっかりと位置づけることが大事だ。

 高瀬 購読していない家庭があったり複数紙を購読する家庭が少ない現状を踏まえ、学校は複数の新聞を手軽に読める環境を用意する必要がある。私の学校には販売店組織の協力で新聞5紙が毎日届く。それを生徒の交流スペースに置いて自由に読めるよう工夫している。また、生徒の多面的なものの見方を養うため、教員には複数紙を読み比べることが求められる。

 ――孤軍奮闘している実践者が取り組みを広げていくにはどうすべきか。

 冨樫 小中学校の連携は個々の教員だけでは無理。教育委員会がNIEの効果を理解して動くことで、私たちも堂々と取り組める。安平町は教育行政執行方針にNIEが明記されており、本年度は早来小、早来中学校がNIE実践指定校(日本新聞協会の認定で新聞を提供する学校)になっている。小中連携のモデルとして発信していきたい。

 菊池 本校も実践指定校で、校区の小学校に呼び掛けて一緒に取り組めたらと考えている。小中学校は割と連携しやすい。近くの学校同士で連携し、そこを拠点に広がっていくといい。

 高瀬 自治体では教育振興基本計画、学校ではカリキュラムマネジメントに新聞活用を組み込み、明確に位置づけることが実践者を増やすことにつながる。

 高辻 新聞好きな先生を増やし、仲間づくりをすることが大事。各種の教員研究会で新聞を使った実践を発表すれば、参加者も取り組むようになる。小さなまちでは、学校の管理職の姿勢次第で小中高が連携できる。最終的には地域の活性化につながる。行政も大事で、教育委員会がバックアップしなければ駄目だ。

*投稿掲載 大きな自信

 ――保護者に呼び掛けるべきことは何か。

 高辻 子どもを育てる手段として新聞を使ってほしい。一緒に見出しを見て話し合ったり、子どもが疑問に思ったことを親に聞いたり、そういうことに利用すればいい。それがNIEの家庭版、いわゆる「ファミリーフォーカス」だ。

 菊池 子どもがスクラップした記事を読んで感想を書き、それに保護者がコメントを書くようなやりとりが広がってほしい。主権者教育が高校で大事といわれるが、小中学生段階から新聞を読み、ものの見方や世の中のことを見極める力を付けてほしい。余談だが、道新の子ども投稿欄「みらい君の広場」に作品が掲載された子はいい方向に変わっていく。教師とは違う物差しを持った人から作文が認められるのがいい。

 冨樫 「みらい君の広場」に投稿が載った子はだいたい開花する。読者から反響があり、大きな自信になるようだ。学校が新聞の良さや読み方を教えることも必要だ。会員制交流サイト(SNS)の短文に慣れきって長文を読めない子も多く、高校生になって新聞を読み始めるのは抵抗感があると思う。早くから新聞を読む世代をつくるのが小中学校の役割だ。

 高瀬 大学入試や就職試験では、日常的に新聞を読むことで身に付く時事問題に関する幅広い知識や教養が役に立つ。付け焼き刃で身に付けることはできず、新聞を読む習慣が必要だ。家庭では最低でも1紙は購読する必要がある。

*読解力の低下 底支え

 ――次期学習指導要領も踏まえ、今後のNIEについて語ってください。

 冨樫 これからは、根拠のある自分の考えを持つことが入試でもそうだが、社会を生き抜くために必要だ。新聞にはたくさんの考えが書かれ、引用することで自分の考えが持てる。

 菊池 次期学習指導要領で新聞が重要とされているが、それを現場でどう実践していくかが課題だ。読解力の低下に対し、NIEの取り組みは即効性はなくても底支えができる。

 高瀬 主権者教育では、新聞、特に複数紙活用の重要性が高まる。さらに、新聞の記事データベースが使えると記事を切り抜く必要がなくなり、教材作成の効率化や質向上に寄与する。

 高辻 これからの学校教育では、先生が教えるだけでなく地域にあるいろいろなものを効果的に使う必要がある。情報提供の素材として新聞は最適だ。事実あり、主張ありで、タイムリーな情報が得られる。NIEで新聞の新しい使い方を広めていかねばならない。

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