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まわしよみ新聞 登別市立富岸小で実践*子どもの興味広がる*ミニ壁新聞 毎日つくり発表

 登別市立富岸小学校(安宅(あたく)錦也校長、455人)の6年1組は本年度、「まわしよみ新聞」に毎日取り組んだ。担任の牧野広太教諭(34)は「子どもたちの視野が広がった」と手応えをつかんでおり、4月以降、新たに担任となるクラスでも続けたい考えだ。(山本肇)

選んだ記事について意見を発表する6班の3人=1日、富岸小

選んだ記事について意見を発表する6班の3人=1日、富岸小

 まわしよみ新聞は2012年、大阪在住のまちづくりプロデューサー陸奥賢(むつさとし)さん(39)が考案したメディア遊びだ。複数の参加者が新聞から気に入った記事や写真、広告を切り抜き、選んだ理由を順番に説明しながら、最後に皆で台紙に貼って壁新聞に仕立てる。
 読む、話す、聞く、書くの言語活動として教育現場で注目されているほか、参加者同士が互いを理解する手段として企業の社員研修でも採り入れられている。
 牧野教諭は33人の児童を3、4人ずつ9班に分けたうえ、毎日の当番を決めてミニ壁新聞を作らせ、帰りの会で披露させた。担当の班のメンバーは2回の休み時間などを使い、先生が前もって用意した北海道新聞と朝日新聞から記事や写真を1点ずつ選んで切り抜き、A3判の紙に貼る。2学期からはワークシートを用意して、記事の中の「事実」、記事への「意見」とその「根拠」、自分の「提案」を記入し、記事と一緒に貼るようにした。
 昨年4月に始めた当初は写真やスポーツの記事を切り抜く子どもが多かったのに対し、日がたつにつれ、学習指導要領の改定から、地球温暖化、沖縄の米軍基地問題、米大統領選まで多岐にわたるようになった。
 3月1日の帰りの会。6班の3人が前に立ち、各自が選んだ記事を順番に発表していく。このうち、上山ななさん(12)は2月21日付朝日新聞の「声」欄に載った埼玉県の主婦(34)の投書を取り上げた。2歳になる娘を抱え、4月からの働き先が見つかったのに、申し込んでいた保育園に入れないとの内容だ。主婦は就職の内定を「辞退するしかない」と書いている。
 上山さんは「女性の社会進出は有名無実だ」とし、「まず保育園をつくる」「国民一人一人が保育園建設に対する理解と寛容さを身に付けることが大切です」とワークシートの記述をほとんど見ずに発表した。
 1年間を振り返り、山代静葉(しずは)さん(12)は「初めは難しかったけれど、記事を選ぶのが楽しくなりました。将来、教師になりたいので、教育の方針や子どもについての記事を興味深く読んでいます」と話す。

*情報を吟味し判断する力育つ

 「まわしよみ新聞」の取り組みについて、牧野広太教諭(34)に聞いた。

牧野広太教諭

 新聞に親しみ、社会に広く目を向けてほしいと思い、昨年4月、受け持っているクラスで始めました。無理のない形で、でも半ば強制的に新聞に触れさせるには格好の活動でした。
 まわしよみ新聞は新聞の特集で知り、考案者の陸奥賢さんの著作を参考にしました。全くの自己流です。
 正直、学力を向上させようといった狙いがあったわけではありません。でも、続けているうちに書く力が付いてきました。授業中に取るノートや卒業文集の作文に表れています。スピーチ力も向上しました。
 私は大学4年生の時に休学し、自転車で日本を一周した後、ピースボートに乗って世界各地を見て回りました。そうして得た経験や知識、思いを未来を担う子どもたちに伝えたい。
 新聞は記者が足で取材してつくられています。子どもたちにも、自らの五感で得た情報を基に積極的に発信してほしい。これからも情報を与え続けたい。情報をどう吟味し、判断するかは子ども自身です。批判的に見る目が養われてきたのは成果かもしれません。

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