NIEニュース
北海道新聞に掲載されたNIE 関連の記事などを紹介します。

NIEのページ

Page of the NIE

主権者教育 生徒の手で*奈良の学校 プログラムづくり*米軍基地見学し情報収集 新聞社からアイデアもらう

 全国高校NIE研究会の第15回全国大会が3月25、26の両日、東京都内で開かれた。18歳選挙権導入に伴い主権者教育の重要性が増す中、生徒自らが新聞を使って主権者教育のプログラムをつくる取り組みが紹介された。(萩原琢詩)

主権者教育プログラム作成の取り組みを紹介する二田貴広教諭=3月25日、明治大学付属中野高校

 実践者である奈良女子大学付属中等教育学校の二田(ふただ)貴広教諭(44)は「模擬選挙をやって単にシステムだけを学んでも意味がない。生徒が主権者として考え行動するために、情報を得たり他者と対話する行動特性を育てる必要がある」とし、「学習内容や方法を開発したい」と狙いを話す。
 二田教諭は主権者教育について学年単位で情報収集し、一人では得られない発想を知り思索を深めようと考えた。昨年度の5年生(高2)3クラス(計121人)を対象に生徒が自分たちの主権者教育プログラムをつくるため、2年間かけてホームルームや現代文の時間に進めることにした。
 新聞記事とインターネット情報の比較にも取り組んだ。「子どもの貧困」をテーマに、各自、パソコンで関連情報を検索する一方、学校で購読している奈良新聞と全国紙の記事を読み、主権者としてどんな情報を判断材料とするか試行錯誤を繰り返した。
 新聞の多角的な視点からの取り上げ方が明確になった半面、ある新聞社の記事捏造(ねつぞう)を知り、新聞を信用しなくなった生徒もいた。
 修学旅行で沖縄を訪ねる際は、米軍基地問題を取り上げた地元・琉球新報と全国紙4紙を事前に読み比べた。生徒たちは基地に対して否定的な情報が多いと実感したが、公正で的確な判断をしたいと基地に掛け合い、見学を実現させた。
 基地側が外部と積極的に交流していることを知った生徒からは「イメージが覆ったが、米軍を恐れている民間人もいる。僕たちはもっと多方面の情報に貪欲でなければならない」との声が出た。二田教諭は「生徒たちが自分で足を運んで目で見て情報に触れ、ここまで考えを深めるようになった」と手応えを語る。
 プログラム作成にあたっては「新聞社との協同」を掲げ、奈良に拠点を置く新聞社の記者らから主権者教育についてのアイデアを得る話し合いの場を持った。新聞人の政治や社会に関する知見を基にNIEを実践しようと考えたのだ。
 新聞社側からは「報道が政治や行政を動かした例を記者が話す」「匿名報道やプライバシーについて考える」などの意見が出た。後日、あらためて対話し、匿名報道の是非やネット上の書き込みと新聞報道の違いなどについて考えた。
 初年度の取り組みを終え、生徒にアンケートすると、「新聞への信頼度が増した」が26%、「変わらない」が61%、「低下した」が13%。「18歳になったら、何らかの情報を得て投票へ行く」が83%だった。
 二田教諭は、情報収集や情報をうのみにしないメディア・リテラシーの面で生徒の意識が向上したととらえている。その上で「校外の大人による語りによって主権者意識が高められた側面もあり、特に新聞人の話は新聞への信頼度を高めた。学校の境界を越え外部と手を携えてやっていくことが主権者教育には絶対に必要だと実感した」と語る。
 本年度は主権者に必要な知識や態度に関する考えを深め、プログラムとして実施、検証する予定だ。

ページ上部へ