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記事を台紙に貼り、見出しや感想を記入*切り抜き作品 効果は*判断力向上、言葉に敏感に

 テーマを決めて新聞記事をスクラップし、台紙に貼って見出しや感想を書き込む「新聞切り抜き作品」作成によって、子どもにどんな学力がつくのか―。今月3、4日、名古屋で開かれた第22回NIE全国大会で、切り抜き作品の教育効果を考える特別分科会があった。教員対象のワークショップの内容のほか、効果検証や実践報告を紹介する。(山口恭司)

ワークショップで、切り抜き作品作りの感想を語り合う教員たち=4日、名古屋国際会議場

ワークショップで、切り抜き作品作りの感想を語り合う教員たち=4日、名古屋国際会議場

 「4、5本の記事を切り取り、共通性を見いだして見出しを付けてください」。切り抜き作品に取り組むワークショップの会場で、スタッフから手順説明を受けた参加者約70人は手元の新聞を一斉に開いた。
 記事を選ぶテーマは「人に学ぶ」。最初は記事を絞り込めずに思い悩むような人もいたが、徐々に要領をつかみ、スポーツや平和、医療などさまざまな分野の記事や写真のほか、広告も切り取って四つ切り画用紙にレイアウトし、見出しやコメントを書き入れた。
 会場では初めて取り組む若い教員も目についた。名古屋市立御幸山中学校に赴任して3年目の川本麻由実教諭は「系統立てて記事を選ぶのが難しいが、やってみると面白い。授業でやってみたい」と話した。
 約1時間で仕上げた参加者は隣同士で作品を見せ、「この見出しは作り手の思いをうまく伝えている」などと講評し合った。指導に当たったベテラン教員らは「読ませたい部分をマーカーで強調するとよい」「読み手の目線で楽しく作って」と助言した。
 切り抜き作品は記事を再構成することで社会事象を多様な観点で読み解き、判断する力を育てる。特別分科会は、切り抜き作品の見えにくい教育効果を客観的に捉えるのが狙いだ。挑戦的な試みへの関心は高く、ワークショップに先立つ検証や実践の報告には教員ら約140人が参加した。
 愛知教育大学の梅田恭子准教授は、中日新聞社などによる効果検証の取り組みを報告した。検証では、東海地方の児童・生徒500人を対象に、切り抜き作品に取り組んだか否かや、教員の指導歴の有無によって生じる学力の変化を数値化した。梅田氏は「指導歴3年以上の教員が指導すると、作品作りに取り組んだ子どもの方が感想や考えを書く力が高くなった」と述べた。
 岐阜県山県市立富岡小学校の奥田宣子教諭は、総合的学習の時間で児童が取り組んだ切り抜き作品作りを紹介した。新聞記事を使った1分間スピーチを土台に、継続的に新聞に親しんだ結果、《1》言葉に敏感になる、《2》社会の出来事への意識が高まり、社会の一員としての生き方を考える―などの教育効果を上げた。
 名古屋市立志段味(しだみ)中学校の伊藤達也教諭は、生徒が互いの切り抜き作品を評価する際、記事の収集やレイアウトなどの項目ごとに4段階で点数化する評価基準を作成した。実践報告では、「学習する上で目標になった」などと生徒に好評だったことを紹介した。
 分科会の進行役を務めた日本新聞協会の関口修司NIEコーディネーターは「目標をしっかりと立てた上で実践することが効果を大きくする。実践も効果検証も継続していくことが重要だ」と指摘した。

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